部分入れ歯は、抜歯後の粘膜に人工歯のついた床を乗せて支え、残った歯に「バネ(クラスプ)」をかけて安定させるもので、欠損が1本だけの場合から、歯が1本しか残っていない場合まで対応できます。バネをかける歯を「鉤歯」、または「維持歯」といいます。ブリッジが欠損の両隣の歯(支台歯)を多く削って被せるのに対し、部分入れ歯は鉤歯を少し削るだけですむのが利点ですが、ブリッジに比べて安定性が劣る、バネやバー(下写真)などによる違和感があり、食べ物がつまりやすいなどの欠点があります。そのため、一般に部分入れ歯が選択されるのは、ブリッジで対応できないケース(連続した欠損歯が多数ある場合など)や、ブリッジが可能でも患者が「歯を削りたくない」と要望したときです。
保険の部分入れ歯は、レジン床(またはスルフォン床)に、人工歯と金属のバネやバーをつける、というのが一般的。これに対し、自費の代表的な部分入れ歯「金属床義歯」は、床に金属を用いてバネと一体化させたもので、ピッタリ合いやすく、薄くつくれて違和感が少ない、熱伝導性がよい、などのメリットがあります。
細田先生は、「装着感、使用感など相違点が多々あるので、種類の選択も大切です。加えて重要なのは、入れ歯をきちんと支えるために鉤歯の形をきちんと整えることです。負担のかかる鉤歯を守るために、冠を被せ直したほうがいい場合もあります。精度の高い入れ歯を制作しても、土台となる部分がきちんと処置できていなければ、十分に機能しないからです」
と話しています。
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